毎度のことと言ってしまえば毎度のことなのだけれど、相も変わらずチャールズは瑛瑠の機嫌を損ねていた。
瑛瑠の部屋の扉をノックする。
「お嬢さま、すみません。からかいすぎました。出てきてはくれませんか?」
理由もまた、毎度のことながらチャールズのからかいによるものなのだけれど。
そして瑛瑠もいじけてしまって答えない。
「レモンティー、ありますよ。」
「……。」
「アップルパイ、食べませんか?」
「……。」
チャールズは苦笑いをする。自分のせいなのはわかっているけれど、こうも拒否されてしまうと、困ってしまう。
「……どうせまたああいうことするんでしょ?」
やっと瑛瑠の声が聴こえる。
チャールズは苦笑する。
「もう、しませんよ。私がお嬢さまに嘘をついたことがありますか?」
瑛瑠は、少しの間を作り、
「……ある。」
そう一言だけ言い捨て、また黙り込んだ。
瑛瑠が出てくるまではもう少しかかりそうだと、チャールズは苦く微笑んだ。