0

LOST MEMORIES 番外編「嘘」

 毎度のことと言ってしまえば毎度のことなのだけれど、相も変わらずチャールズは瑛瑠の機嫌を損ねていた。
 瑛瑠の部屋の扉をノックする。
「お嬢さま、すみません。からかいすぎました。出てきてはくれませんか?」
 理由もまた、毎度のことながらチャールズのからかいによるものなのだけれど。
 そして瑛瑠もいじけてしまって答えない。
「レモンティー、ありますよ。」
「……。」
「アップルパイ、食べませんか?」
「……。」
 チャールズは苦笑いをする。自分のせいなのはわかっているけれど、こうも拒否されてしまうと、困ってしまう。
「……どうせまたああいうことするんでしょ?」
 やっと瑛瑠の声が聴こえる。
 チャールズは苦笑する。
「もう、しませんよ。私がお嬢さまに嘘をついたことがありますか?」
 瑛瑠は、少しの間を作り、
「……ある。」
 そう一言だけ言い捨て、また黙り込んだ。
 瑛瑠が出てくるまではもう少しかかりそうだと、チャールズは苦く微笑んだ。

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。