心臓を穿つのは
たった一つの言葉なんだよ
それでも風穴は痛くない
痛いくらいの拍動が
麻酔の真似をしたようだ
弾痕には血も出ない
きれいに焼き進んでいったようだ
胸を空っぽにして飛んでった
小さな言葉だけど
それに気付いたら
気付いてしまったら
***
チープなあの歌が
自分のこころを覗くとは
思わなかった
思い出してしまうんだな
惨めにも思えないんだな
「悲しい」とも違うんだよな
全てやり直しても意味がないという
決して揺るがない予定説が
ただただ空虚なんだな
そんなぽっかり空いた空虚から
思い出したように滲みでてきた涙すら
落とす場所がない
あなたが泣いていいって言って
いくら
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙涙
と呟いたところで
あなたの指先すら濡らせないことが
いつにもまして寂しいのか
それもまた空虚に呑まれて虚しいのか
それならば降水確率80%の雨が
こころを埋めてくれないものか