夕暮れが僕らを照らす。並ぶ二つの影が、時折ゆらりと揺れた。過ぎる時間が、風が、心地よく柔らかい。
「今日のしょうちゃんすごかったね!」
無垢な瞳に笑いかけられ、どくりと胸が波打つ。こんな風に、彼女に振り回されるようになってから、どれくらいたつだろう。
そんなことないよ,なんて当たり障りなく返す僕は、今日も気の利いた言葉が出てこない。油断すると、違う言葉を吐き出してしまいそうになるから。
__伝えてしまいたい。
そう思うけれど、
「しょうちゃん?」
覗き込む彼女の瞳に捕らえられ、どっと汗が出る。
この瞳を汚したくない。
困らせるのがわかるから、今日も閉じ込めた。