ざーざーと音を立てるのは雨。
「けんか、しちゃった。」
知らしめられる。君の瞳が抱えている涙の理由が、僕じゃないこと。
張り裂けそうな痛みや潰れそうな苦しさとは裏腹に、僕にしか見せないその顔を独り占めにしたいと思ってしまう。
手をそっと伸ばして、伝う涙を拭いてあげる。誰かのために、涙なんか流す必要ないのに。こんなの、僕にしかできないのに。
こんなにも近くて、こんなにも遠い。それでも、傍にいたいんだ。
「しょうちゃんは優しいね。」
違うんだよ。あわよくば、僕にしないかなって、君の不幸を願う嫌な奴なんだ。
ごめんね、好きなんだ。好きなんだよ。
……君には届かない。