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UFOの落ちた夏(6)

 だいぶ歩いたかな。そう思って、ふと上を見上げる。真っ赤だ。
「……どこへ向かっているの、とか聞かないの?」
 私はある場所へ向かっていたのだが、宙は黙って付いてくる。だから私はそう聞いたのだが、あくまで宙は平然としていた。
「じゃあ、どこに行くの?」
……ほんと、可愛くないやつ。私は、自分で振ったくせに無視。宙はまたもや憎たらしい顔をして嘲笑った。
「姉ちゃん、いじけた!その年でいじけた!」
 そう言って走る。今度は、笑いながら。
「ちょ、こら!待ちなさい!宙!!」
 叫ぶ私も笑っていた。なんだか弟ができたみたいで、とっても楽しかった。

続く

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