感情の読み取れない声だった。不思議そうな、それでいて哀しげな、切ないともとれるその声。 「なんとなく……そう、なんとなく、だけど。……どうして?」 その声があまりにも突き刺さるから、思わず聞き返す。 「ここだったんだ……」 「え?」 「ここ、見たことがあるんだ、来たことがあるんだ、何回も。小さいとき、ぼくの姉ちゃんがよく連れてきてくれた。」 とても幼く、とても純粋な顔だった。だから、言ってやったんだ。この、生意気で憎たらしい男の子に。 「今も十分小さいよ。」 続く