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UFOの落ちた夏(11) 完結

「この子の名前、何にしようかしら。」
 母の言葉に、強く反応する。
「“宙”がいい。宇宙の宙で“そら”」
 母は笑う。
「それじゃあ、空ちゃんの名前を呼ぶときと、聞き分けがつかなくなるわ」
 そんなの、ニックネームでも何でもつけてしまえばいい。
 私の気迫に圧されたのか、ちょっと間をおいた母は、そうね、と呟き、
「この子の名前は“宙”にしましょう。空ちゃんが名付け親ね」
と微笑んだ。
 私は嬉しかった。
 この子を、あの海に連れて行かなくては。「馬鹿」ばっかり言わないよう伝えなくては。あと、UFOを勝手に操縦しないように言うことも。言いたいこと、伝えたいことが山のようにあって。
 それでも、一言目は決まっていた。
「また会えたね、宙」
 さっきよりもずっと小さい宙が、笑っているように見えた。
「ほら、言ったとおりだろ、姉ちゃん」
 そう、言っている気がした。

おしまい。

  • UFOの落ちた夏
  • お付き合いありがとうございました。
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