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夢幻

夏の群青色はあまりにも儚く泡沫のようで

無限に広がっていると信じて疑わなかった宵闇に
華を咲かせた

神社の隅に刹那の火花を散らし
ぽとりと落ちた最後の線香花火
少女の姿も闇に呑まれて消えてしまった

真っ紅な金魚はビニール袋に
揺られ揺られ揺られ

飴細工の金魚はあの子の口に
溶ける溶ける溶ける

人気の無い路地の薄い薄い水溜まりの上
跳ねる跳ねる跳ねる
うろこが光る

夏祭りに消えたクラスメイトのおんなのこ
純白の浴衣に下駄を鳴らす

からん、ころん、カラン、コロン、

ラムネ売りがB玉片手に手招き
儚い儚い脆い脆い



……嗚呼、それでも見たいのかい?

サァサァ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
そこのお嬢ちゃん。


……お代は何でも、見てのお帰りで結構だよ。

  • ラムネ瓶に入ってるのは完全な球体のA玉、
  • A玉として使えなかったのがB玉なんだとか。
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