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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ①

わたしが住む街、寿々谷の商店街は、立派そうに見えて正直ちょっとしょぼくれている。
ここがわりと田舎なこと、近くにショッピングモールがあること、などの理由で、商店街は少し寂れ気味なのだ。
まぁ小さいころからそんなのは知っているのだけれど。
とはいえ、外面はどこにでもありそうな商店街だが、一歩裏路地に入ると随分違う。
路地裏にはよく分からないお店や、古い家がひしめき合っている。
正直、慣れている人でないと歩きにくい。そもそも、慣れている人でないとそこへ行かないのだけれど。
ちなみにわたしは慣れているとも言い切れないし、慣れていないというワケでもない。
ただ、あまりそこらへんには行かないので、迷子になっても仕方ないような気がする。
…というか今まさにその状況なのだけど。
「…みんな一体どこ行ったんだろう」
人通りの少ない小道で、わたしは独り呟いた。
ついさっきまで、”彼ら”は近くにいたはずなのだ。

  • ハブ ア ウィル ―異能力者たち―
  • 今日から夏休みなので、できる限り1日2回分投稿!
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