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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ③

運がいい事に、目的地は分かっているので自力で行けそうだ。多分駄菓子屋まで行けば、彼らに会えるかもしれない。
だから大丈夫、そう自分に心の中で言い聞かせた時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「…あ、」
思わず振り向くと、自分のやや後方に見覚えのあるメガネの少年が立っていた。
「…美蔵(ミクラ)?」
「アレ、不見崎(みずさき)じゃん」
彼は久しぶりだな、と言いながらこちらに歩み寄ってきた。
「ここで何してんの?」
「あー…友達とはぐれちゃって。美蔵こそ何してんの?」
「え、僕? 駄菓子屋行くとこだけど」
「あ、わたしも!」
わたしがそう言うと、美蔵は怪訝そうな顔をした。
「…フツー駄菓子屋行くだけで友達とはぐれる?」
「い、いや、何か先行っちゃってさ~」
「ふ~ん」
美蔵はそううなずいてから、ちょっとわたしを小馬鹿にしたように言った。
「…まさか駄菓子屋への行き方が分からないとかじゃないだろうなぁ?」

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