「さすがにそれは知ってるよ!」
わたしはとっさに言い返す。…やっぱり、相変わらず美蔵は性格が悪い。
「…だからこれから行くとこ」
「あっそ」
美蔵ははつまらなさそうに言った。
何なんだか、こいつ…わたしはそう自分の中でため息をついた。
―美蔵、美蔵 健司。かつてわたしと同じ小学校に通ってた人。
人が好さそうだけど、皮肉屋で変わり者。
そのため多くの生徒から、”変人”とか認定された、クラスの異端児のような存在。
でも別に悪い人じゃない。…ちょっと口は悪いけど。
1回同じクラスになって、何度か話した事はあるけれど、話してて割と楽しい人だった。
…まぁ、こちらが理解できない事をちょいちょい言ってたが。
お互い別の中学に進学したので、小学校卒業以来、ずっと会っていなかった。
…だからと言って、久しぶりに会えて嬉しいというワケではない。それでも彼は相変わらずだったのでなんか安心した。