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オフィーリア第一話

 明け方まで仕事をしてベッドに入り、九時に起きて洗濯をすませてから定食屋で遅めの朝食をとったあと、なんとなくぶらついていたらふと、ビールが飲みたくなった。
 そういえば最近オープンしたカフェがあったな、ビールはあるだろうか、とりあえずちょっとのぞいてみるか、と店の前まで行くと、店頭にメニューが出ていた。生ビールが、あった。
「いらっしゃいませ、どうぞ」
 ドアが開き、美人の店員が顔を出した。初めて会ったのに、前からよく知っているような印象。
 店内に進む。カウンターで注文し、代金を先に払うシステムだ。僕以外に客はいなかった。
「ご注文お決まりですか?」
 ここのオーナーなのかもしれない。ほっとした表情が浮かんでいた。自分も店をやっていたことがあるからわかる。オープンしたばかりの先の見えない不安な心理状態のときに来た客は、たとえジュース一杯の客でも、まさに神のように感じられるものだ。
「生ビールをお願いします」

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