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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑥

「でも、あの時は、あっちはあっちで用事があって…」
「いやぁ、僕知ってるんだよね~。お前の事ちょっと面倒くさいって言ってた人…例えば川畑とか」
「なっ…嘘でしょ? 初実が?」
あぁそうだとも、と言って彼は立ち止まる。
「前にさ、川畑が他の女子に、『何かいつも誰かと一緒にいたがるからちょっと鬱陶しい』とか言ってたぜ?」
「…まじか」
「ハハハ…マジなんだよねーこれが~」
がっかりするわたしに、美蔵はニヤニヤと笑いかける。
「だからそうなんだろう? その友達とはぐれたのも、単純にお前が面倒で一緒にいたくないからわざと置いてけぼりにしたんだろう?」
ま、あくまで僕の推測だけどな、と彼は付け足す。
多分…彼の言っている事は合っている、多分。
でもわたしとはぐれてしまった”彼ら”に聞かないと、本当のところは何も分からない。…実際そうでもないかもしれないし。
だからこう言い返した。
「…確かに、そうかもしれないけど…ちゃんと聞かないと分かんないと思う、そいうのは…きっと」
…ま、そうだけどな、と言いながら、美蔵はまた歩き出した。

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