それは、夏休みの最中。
唐突ではあるが、桜木ノアと共にテスト勉強をしていた時のことだった。
勉強をしていたところ、どうにも解けない問題にぶち当たるという、なんともありがちな理由でやる気をなくし、スマホをいじっていた時のことであった。
「さっきからずっとスマホ見てるね」
桜木が俺を見ながら言った。
「いや、もう無理そうだから」
俺は適当に桜木に言葉を返した。
その特に何の意味も込めていない言葉が、俺にとって何の意味もなかったからこそ、彼女を傷つけた。
「……そう」
その声が冷えていることに気づいた。明らかに何かが変わった。けれど、何が変わったのか分からなかった俺は、火に油を注いでしまった。
「……どした?」
「いや、別に。君はそういう、諦めちゃう人なんだなーって」
「いいじゃんかよ、問題の一つくらい……。お前だって諦める時はあるだろ」
「……諦める時?」
その時、再び桜木ノアの中で何かが変わった。けれど今回は分かる。
変わったのは、温度だ。
「諦められるなら私はこんなに苦しんでない!」
それは。
今までに聞いたことのない桜木の悲痛な叫びだった。
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相変わらず投稿を忘れがちな私です。1日遅れでドン。