休みの電話を入れた 雨の月曜日
いつもと逆向きのバスに乗った
行き先には見覚えのある文字
ガラガラの車内 一番後ろに座る
曇ったガラスに震える手で描いた
似顔絵でしか見れないあの人の顔
いびつな輪郭につぶれた目と鼻
お手本がないと上手く描けないよ
休みの電話を入れた 雨の月曜日
いつもと逆向きのバスに乗った
着いた先は見覚えのある図書館
あの人が好きだった本を手に取る
青いしおりに震える手で書いた
「今でも好き」と名前を明かさず
あの人の開きクセがついたページに
そっとはさんで本棚にもどした
もしかしたら もしかしたら……
似顔絵じゃなく会えるかもしれない
わずかな望みを青いしおりに託して
私は帰った 何も変わらぬ日常に