「…何がいた?」
ネロも気になっているのか、耀平の陰から顔を出す。
「クッ、まぁ言ったらつまらなくなるんだがな…」
師郎は何か意味ありげに笑いながらネロの方を向く。
「でもどうするかな~、とっ捕まえるのもアレだし…てかネロ、お前なら誰だか気付いてるだろ」
ニヤリと笑う彼の目は、見たことはないけどどこか悪賢い狼のようだった。
「…なんとなく」
そうポツッと呟くネロを見て、師郎はククッと笑って元の方向を向いた。
「…じゃ、ちょっと捕まえてきますか」
「…え、どういうこと?」
話の意味が分からなくて、わたしは少し戸惑った。”捕まえる”、って…
「あーおれ何か分かったかも」
「え、分かるの?」
耀平は師郎が言ってることが分かるのか、クスっと笑う。
「でもそれでいいのかよ?」
「ま、責任は俺が取るんで」
師郎はそう言って、路地の角の方へちょっと駆け出した。
「…オレも行く」
そう言って黎も立ち上がった。