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陰陽師と夜の夏祭り③

「……陰陽師」
「ん? どうした」
「そろそろ夜が明けそうだ」
「……ああ」
東の空は白んでいて、じきに朝が来ることを伝えていた。
「陰陽師、ありがとう。楽しかったぞ」
「君が楽しめたならそれでよかった。でもいいのか? もっと回りたいところとかは?」
女の子は首をふるふると振ると、答える。
「いいんだ。もう満足だ。それにやっぱり人と会うわけにはいかない。私は一度死んでいるのだから」
「そうか」
「ありがとう」
「お礼はもう聞いたよ」
「何度でも言うさ」
「……そうか」
陰陽師は式神を式札に戻す。
「せっかく式神になれたんだ。何度だって連れてってやるからあんまり落ち込むなよ」
女の子はもういない。

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