「え⁈ 何? ねぇ教えてよピシェス!」
ピシェスの呟きに、キハは目をキラキラと輝かせて反応する。
「…え、そりゃぁ、カロンは耳を帽子かなんかで隠して、シッポは服の中に押し込めばいいし、キハは帽子に穴開けて角通せば、直に角が生えてるってそう分かんないでしょう?」
「え、ピシェスてんさーい!」
ピシェスの策を聞いて、キハは思わず声を上げた。
「いやちょっとひねれば思いつくでしょ」
ピシェスはそんな褒め言葉を聞いても何食わぬ顔だった。
「いやちょっと待て、羽根はどうする。隠すの難しいぞ」
不意にそう言ったナハツェは、自らのコウモリの翼のような黒光りする羽根を、マントから出して見せた。
「あ、ほんとだ」
「そーいやピシェスも羽根あるよな。白いのだけど」
そうね、と言って、ピシェスは背中から生えてる白い羽をこちらに見せた。
「羽根はもう魔術使って隠すしかないわね」
「え、それどーすんの」
できんの?とカロンが椅子から立ち上がっていう。
「そりゃぁ、キハの御主人に頼むしかないでしょう? そういうの得意らしいし」
ピシェスがちらとキハを見ると、キハはえ? ボクんとこの?と自分を指差した。
「そう、優しい人だから頼めばやってくれるでしょう?」
「…待て、キハのマスターはマジで会いたくないんだけど」
ナハツェがうつむきがちにピシェスを制止する。
「あそっか。ナハツェはピシェスの主さん苦手なんだっけ」
「えーどーしてー? ボクのマスター良い人じゃーん」
周りに尋ねられると、ナハツェは嫌そうに目をそらす。
「…ああいうのは嫌なんだよ」
「そう…」
ピシェスは静かに呟く。
「じゃあナハツェは夏祭り行かないの?」
キハはナハツェの顔を覗き込みながら聞く。
「…そもそも行きたかない。ていうか、みんなはどうなんだよ?」