「花さん、本当にすみません!」
会うなり平謝りの瑛瑠に花は驚いていたもの、事情を聞いて笑いだした。
「もう、何事かと思ったじゃない。瑛瑠ちゃんに怪我がなかったらそれでいいのよ。むしろ危ないもの履かせてごめんね。寿命だったのね、きっと。ちゃんと、貸す前に確かめておくべきだったなぁ……」
店内には、話したことさえないもの、見知ったお客さんが、夜だというのに割といる。きっとお祭りだから、顔見知りはここに集まってきているのだろう。忙しいときにお邪魔してしまったと思い、瑛瑠はさらに恐縮してしまう。
「花さん、本当にすみません……」
「もう。大丈夫だって言ってるでしょ」
花は笑う。まるで検診するように、下駄をくるくるさせて診ながら、直るから,とそう言った。
「今はなんでも、壊れたらすぐに捨ててしまうけど、直せるんだよ。昔の人だって、そうしていたんだから。花火までまだ時間あるよね?ちょっと待っててね、今手ぬぐい持ってくるから」
花は、今直そうとしてくれているのだろうか。それは、あまりにも申し訳ない。
「ま、待ってください、花さん!大丈夫です!」
「え?今からでもまだ間に合うよ?」
「いいんです、大丈夫です。今日はお留守番してることします。みんな、今日は三人で楽しんで来てください。」