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親友

「らぶのこと親友だと思ってたのに、こんな形で裏切られるなんて思わなかった」
「え、ごめん。悪気があったわけじゃ」
「悪気があったわけじゃないって!? 親友だったらわかんじゃん……もういいよ。友だちやめよ」
「ごめん。ほんとごめんなさい。新しいの買ってくるから」
「そういう問題じゃないでしょ! もういいよっ!」
 テーブルをばしっとたたいて杏樹が立ち上がった。
 わたしは黙って、器に残ったとけた氷を見つめた。
「もうこれからシェアなんてしない。翔君もわたしが占有するから。かき氷ほとんど一人で食べちゃったあんたが悪いんだからね。さよなら」
 そう吐き捨てるように言って杏樹は店から出て行った。
 一週間後、翔君にふられたのでやけ食いするから甘味処につき合ってと言われた。わたしは笑顔で応じた。
「わたしたち、やっぱり親友だよね」
 あんみつのバニラアイスを頬張りながら、杏樹が言った。
 わたしはところてんをひと口すすってからうなずいた。

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