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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑯

「…いや、どうするも何も。もうとっくにバレてるんだけど」
「え?」
すでに開き直っているネロの言葉に、美蔵は唖然とする。
「い、いやぁ~…ね、色々あってネクロがやらかしてバレちゃったんだよ、盛大に。だからもうコイツの前で異能力使っても別にいいんだけど」
「は…?」
耀平は苦笑いしながら事情を説明していたが、美蔵はイマイチ理解できていないみたいだった。
「ホントはさぁ~、バレたくなかったんだけどさぁ…てかアンタ、そろそろ解除してやったら? この状況だとあの女にバレてるよ? さっさともう1人の自分を引っ込めろよ、…”クラーケン”」
…”クラーケン”⁇ それって…とわたしが思った時、目の前が明るくなった。
「あっ、戻った」
さっきまで真っ暗だった視界は、元の通り路地裏が見えている。
「…フン、まさかまた異能力者の知り合い増やすとはね」
ネロが音もなくわたしの後ろから出てきた。
「アンタ常人の友達いないの?」
「いや美蔵は昔からの知り合いだよ!!」
「ホントに?」
「いやホントだよ…」
疑いすぎだよ…と思いながら、わたしはうなだれた。

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