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世にも不思議な人々㉞ 悲しきトカゲその2

以下、トカゲの書いた文面である。
『やあお二人さん。話を聞いた限りでは二人も私の同類とお見受けする。その縁でどうか私の話を聞いてほしい。信じてもらえないかも知れないが私はもともと人間だったのだ。』
こんな文章書ける知能がある時点で十分信じるに値しますよ、トカゲさん。以下続き。
『ある日私は不思議な力を手に入れた。「暗示によって己の姿を変える」というものだ。それによって友人にこの姿に変えられてしまった。元に戻れたらあいつは殴ろうと思う。どうやらこの力は自分の意思によっては姿を変えられないらしいのだ。そこで頼みがある。何とかして私を人間に戻して欲しいのだ。無茶は承知だが、この姿のままでいるともしかしたら私は自分の人間出会った頃を忘れ、ただのトカゲとして知性も手放し無意味に一生を終えてしまうかもしれない。それが私はたまらなく恐ろしいのだ。』
「………どうするつーさん?」
暫く呆然とした後、有栖が口を開いた。
「………無茶にも程があると思うのよ、私。っていうか呼び方よ。……でもまあ、私達が拾ってて運が良かったね」
「けどつくば、人をトカゲには出来そうだけど、逆いけるの?」
「どうだろ。だから君の力を使うんだよ。確実に治すためにさ」
「どういうこと?」
「私の能力で君に、『あのトカゲは人間に戻る』と暗示をかける。そうすれば彼も元に戻るって寸法だよ。もちろん私もトカゲ氏に対して呪(まじな)うよ?」
「その手があったか。よし、早速実践だ」

「ありがとうお二人さん!あなた方は私の恩人だよ!恩に着る!」
トカゲ氏は無事元に戻りました。
「いえいえ良いのですよ。同じ能力者ですから。困ったときはお互い様です」
これはつーさん。
「しかし暗示で能力が発動ですか。シンパシー感じます。」
「ほう、君もその手の能力か。ぜひ詳しく聞かせてほしいな」
「はい、喜んで」
「フフフ、友人増えて良かったねアリスちゃん」
「え、うん、ってその呼び方やめてってば!」

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