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世にも不思議な人々㉟ 死なない人・死なせない人その1

「やあお帰り、少年。まーたボロボロになって帰ってきたね?」
少年、と言うには肉体的に成長し過ぎた、一応年齢のみは少年の2m超えの大男に、彼の3分の2程度しか無い、とても彼と同い年とは思えない少女が心底寛いだ様子で話しかけた。
「……ここは俺の家だ。何故ここにいる。そんな当たり前のように」
「案ずるな、君の親には了承を取っている。嬉々として招き入れてくれたぞ」
「……そうか。それなら仕方無いな」
良いのか。
「傷を見せてみな?私が治してやるからさ」
「いらん。どうせ大したことはない」
「腕の骨が露出するほどの裂傷を大したことないと形容するのは君だけなものだよ。全身傷だらけのズタボロだし。何をしたの?」
何故平気なんだろうねー?痛みは?気合でどうにかなるレベルを大きく超えてますけど?
「おお、そんな酷かったか。うん、確かに。こいつは実に気持ち悪い。いやな、ちょっとばかし、な」
ちょっと、何だ。
「そうでしょ?いくら君が不死身でも治癒は君の専門外なんだから」
ほう、不死なのね?道理で気にしない訳だ。
「おう、で、今回は何で治すつもりだ?包丁系は大体やっちまったろ?牛刀とかどうだ?」
「この間やったよ」
「あれ片手剣じゃなかったのか。鮪包丁は?」
「それもやったね。あれは確か半月前だったんじゃないかな?」
「あれ日本刀じゃなかったのか」
会話が剣呑過ぎます。治す算段はどこに消えた。
「まあ、私の力なら最悪縫い針1本で十分なんだけどね」
「何でも良いから早く治せ」
「了解。じゃあ果物ナイフ辺りで行きますかね」
そう言って、少女は果物ナイフをどこからか取り出し、大男に向き直り、ナイフを深々と彼の胸に突き刺した。ってちょっと待てぃ。治すって何だっけ。
「ごっふ」
そしてナイフを抜くと、胸の傷を含め全身の外傷は消えていた。
「うおお…、相変わらず慣れねーな。つーかもっと丁度良いものあったんでは?」
「気にするな。治してもらったんだから文句言わないの」

  • 童謡系能力者がまた何かやってます
  • 不死っぽい人と治癒系っぽい人と
  • この二人何かもういろいろおかしい
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