「さて、少年?どうしてこうなったのか話を聞こうか?」
少女が大男に問うた。
「あー、そうだな、簡単に説明するとだな、まあこれを見てくれ」
そう言って大男は自分のスマホの画面を見せた。チャットアプリの画面が表示されている。少女がその文章を音読した。
「『逃げ足に自信のある奴集合!あの公園でケイドロしようぜ!日時は……』。……何これ。いやね、まあ、それに参加したってことなのは分かった。けどそれでどうしてあんなになるの?君はもっと自分を…まあ死なないし良いのか?」
「まあそういうわけだ」
「まあ良いでしょう。じゃあその時の話聞かせてよ。どういうメンツでやったのさ?」
「えー、メンバーは殆どクラスの男子で、主催者はジョジョだろ、他には」
「待って、ジョジョって誰よ?」
「所沢初だが」
「無茶が過ぎない?」
「そうか?で、他がクラス一の俊足だろ、『お前神か』が口癖の奴だろ、影の薄い奴だろ、二段ジャンプできるやつだろ、」
「ちょっと待って。二段ジャンプってできるもんなの?」
「そいつはできたからなー。んであとは、ジョジョが連れてきたお前くらいちっさい少女」
「ほう。それで?」
「その少女が鬼だったんだが、真っ先にクラス一の俊足がやられた」
「へえ、その子速いんだねえ」
「で、その次に俺がやられた。逃げるときに枝に引っ掛けるか何かしたんだろ」
「引っ掛けるのは服くらいにしてほしいよ……」
「んで、そこからが長かったな。鬼は二段ジャンプ使いを追ってたんだが、相手は空中を上手いこと逃げるからなかなか捕まらない。その間に影の薄い奴が解放に来たんだが、あの鬼、20mくらい離れた距離からそれに対応しやがったんだ。けど何故かそいつも捕まえるには至らない」
「はー。そんなことあるのか」