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SOL!限定小説「パラレルワールド~分岐点の反対側~」#1

 そう心の底から思いつつ、そんなファンタジーみたいなことはない、と現実のつまらなさにため息を吐いて酷暑の中、膝に顔を埋める。
 突然、キーン……という耳鳴りのような音がした。熱中症かも、と思って顔を上げる。すると私は自分の部屋にいた。しかしエアコンが無い。去年の夏、中学生になったからと自分の部屋に付けてもらったエアコン、それが無い。いつの間に取り外されたのだろうと思いながら押入れから扇風機を出す。
 その時、壁に貼っているカレンダーに気がついた。今日、8月7日 日曜日のところに赤色のペンで「ぷれぜんとをかってもらう日」と書いてある。確かに今日は私の誕生日だ。しかし曜日が違う。今日は水曜日だ。しかも平仮名だらけの下手な字だし、そもそもプレゼントを買ってもらうなんて約束もしていない。慌ててカレンダーを外し表紙を見る。そこには『2011 平成23年』と書かれていた。
 左手に持っていた扇風機こそ落ちなかったものの、右手のコードは何かの映画かのように落ちていった。

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  • 「パラレルワールド~分岐点の反対側~」
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