夏の終わりの雨があがって 纏わりつくような空気を吸って 見上げてふと目があったら 枝の上のカラスがあくびをした 茜の空の夕立があがって 閉めきっていた窓を開けて 網戸についた水滴を撫でたら あの日の涙を思い出した 秋のはじめの雨があがって しまい込んでいたギターをつかんで もうずっと忘れていた旋律に触れたら 窓の外から歌が聴こえた もう日も沈む頃 静かな夜が おもむろに近づいてくるのを見た