「あ、そうなの?」
「…そういうものよ」
壁にもたれる彼女はあきれたかのように亜理那を見た。
彼女―鷲尾さんの様子を見ていて、この人は相変わらずなんだな、と思った。…まぁ、つい少し前まで同じクラスだったから、変化がなくて当然なんだろうけど。
鷲尾さんこと鷲尾 遥は、去年わたしと同じクラスの人だった。
こちら側からの印象としては、マジメで冷静。クラスでどんちゃん騒ぎしているような人たちからは、いつも少し離れたところにいるような人。
かと言って、わたしと同じように孤立していたわけではなく、よく同じようなメンバーでつるんでいることが多かった。
でもたいがい、一緒にいる人たちは彼女と同じように割とおとなしめな人達ばかり、亜理那のような人と繋がりがあるとは到底思えなかった。
「ね、ねぇ亜理那。亜理那は鷲尾さんとどういう関係?」
話が一旦落ち着いたところで、わたしは亜理那に切り出した。
「え? えーとね、ハルカはわたしと小学校の頃からの付き合いなんだ。たまにそこらへんでおしゃべりしたりするし」
ねーハルカ?と亜理那は鷲尾さんの方を見る。
鷲尾さんはまぁ、そうね、とうなずいた。