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世にも不思議な人々㊷ 歩く人・見せぬ人その5

「さて、何を使って治そうかねぇ?」
少女がわくわくした表情で大男を見下ろしています。
「あ、そういや君、どうやってそいつの傷を治すつもり?」
尋ねたのはヨースケ(陽太郎)の方。表記が大変ややこしいです。
「そうねぇ……。よし、こうしよう」
そう言って少女は徐ろに手を貫手の形にし、大男のボロボログチャグチャの右腕に思い切り良く突き刺しました。
「えええええ何やってるの!?」
「おいおいおいあまりにグロ注意過ぎるぜ」
これには流石のヨースケ(陽太郎)&ヨータロー(陽介)も引いてます。無理も無い。多分僕も引く。
しかしその手が腕から抜かれた時には、もう傷は全て治っていました。
「これが私の能力。『何かで突き刺した対象の外傷を完全に治す』能力だよ。すごいでしょ。痛いけどね」
「うへえ……。治すために刺されにゃならないのか……。」
「俺だったら御免だな……」
「俺は痛覚無いから平気なんだよ」
陽太郎(ヨースケ)と陽介(ヨータロー)は怖がってるようですが大男は平気そうな顔。
「けど私もこのやり方はもうやりたくないな。これでもいけるかなって思ったけど、ぶっちゃけ感触が気持ち悪い」
何言ってるんだこいつは。
「何言ってるんだお前は。自分でやっといて勝手な」
あらま。大男と感想が被った。
「そういえば、君たち誰?」
少女が今更な質問を二人組にしてきました。
「ああ、こいつらが件の能力者疑惑の奴らだよ。実際そうだった」
答えたのは大男。
「へえ、二人はどういう経緯で能力者に?」
「ああ、俺達はねー」
「あいつの影響だな」
「あいつとは?」
「「神か少年」」
二人組の声が揃いました。
「いや誰だよ」
男が突っ込みました。
「ほら、ケイドロの時もいたろ?」
「『お前神かよ』が口癖のあいつだよ」
「あいつか!へー、そいつぁあ面白いや。そいつも能力者ってことで良いのか?」
「多分?」
「恐らく」
「じゃあ少年。次はそいつだな!」
そういうわけで、次回はそいつに話を聞きに行くようです。

  • 童謡系能力者がまた何かやってます
  • 基本先に喋ってるのがヨースケ(陽太郎)
  • 二人組の異能呼びはある意味で正しい。
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