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桜木ノア #10 9月某日

桜木ノアを怒らせてしまった夏休みが明け、平然と学校が再開した。
夏休みの思い出を話す生徒や、宿題が終わっていないと半笑いで嘆く生徒たち。

その中に、桜木ノアの姿はなかった。

連絡は事前にもらっていた。部活のグループラインで『ごめん。体調崩しちゃって、しばらく休むかも』と言われていたのだ。
朝香と平田のいないこのクラスの中で、桜木が休みだと知っているのは俺だけだったのだが、しかし、クラスメイトたちは桜木の姿がないことなど気にも留めていなかった。そのことに不快感がなかったと言えば嘘になるのだが、俺は俺で普段関わりのない相手が休んだところで大して心配はしないため、人のことは言えない。
まぁ、実際のところ桜木はそれほど休んでいたわけでもないし、学校に来たときにはとっくに元気になっていたようなので、俺は安心した。
安心していた。
安心してしまった。
桜木らしくもなく成績を落としていたにも関わらず。
文化祭一週間前の部活の日、俺は桜木のことなんて何も分かっていなかったのだと知ることになる。

  • 桜木ノア
  • やっぱり忘れた投稿
  • 次は9/2に更新してたらいいな〜
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