朽ち果てた廃墟のお城
幽霊さえもいなくなってしまった
伽藍堂の大広間にただひとつ
午前三時、鐘が鳴る
灰暗い真夜中の子守唄
オルゴールの音色は呪いの断末魔
紅錆びた忘れ物
鏡の下に封じ込められたお姫様は
ある真夜中の午前三時、
死の眠りから目を覚ます
愛しのfiancéのもとへ
何処までも奈落の果てまでも彷徨い憂う
真っ白なネグリジェを着たお姫様
ひとつめの扉、
ふたつめの扉、
みっつめの扉、
よっつめの扉、
いつつめの扉、
むっつめの扉、
軋む扉にひとつずつ
吐気を催すほどの呪いの跡を口付ける
朧月夜
愛する青年を手に入れるため
軽かな足取りで埃臭い扉をノックする
今宵こそはどうか逃げないで
愛するfiancé
さあ、
ななつめの、扉。