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世にも不思議な人々㊻ 敬う人その2

彼の不思議な少年としばらくお話していると、どこからか大きめのヒキガエルがのたのたと私達の方に這いずって来ました。
「あ!せーあ様だ!ほら、あれがせーあ様だよ!格好良いでしょう!」
「おー、ヒキガエルだ」
すると、そのヒキガエルが話しかけてきました。
『ヒキガエルとは何だ。我こそはこの一帯を仕切る土着の神、青蛙神にあるぞ。頭が高い!』
いや、カエルに頭が高いなどと言われましても。まあ穏便に済ませたいので言う通りにしましょうかね。私は屈んで目線を少し低くしました。
「申し訳ありません青蛙神様。ところで失礼を承知でお尋ねしたいのですが」
『何だ?』
「一体貴方様はどのような出自で?」
『出自?そんなものは知らぬ。気付いた時には既にこの世に在った。ただそれだけのことだ』
「ほう。……もしかして、そこの少年が関わっているとか、そんなこと無いでしょうか?」
『厶、彼奴か?さあ、我も所詮は産まれて幾らも経たぬ新参故、知らないことなど山とある』
ふーむ、彼の少年が一枚噛んでいると思ったのに確証が無い。
そんなこんなを考えておりますと、やけに背の高い、と言っても住之江少年よりかは少し低い、それでも細いせいでより背が高く感じられる男がやって来ました。
「む、これは奇々怪々。ヒキガエルと子供が話してら。……ふーむ、而してそれなら何もおかしくないか」
何やら訳を知っている様子。
「えーっと……すみません。これについて何か知ってるのです?」
「うにゃ。けどさっき見たお陰で分かった。ところで君もそこの少年も、僕らの仲間なのか。どんな能力なんだい?」
なぜ私が能力を持っていると知っているのでしょう。雰囲気も不審者だし近寄りたくないです。
「今君は『なぜ自分が能力を持っていると知っているのだろう。雰囲気も不審者だし近寄りたくない』って思ったろう。……君は次に『な、何故私の考えている事が!?』と言う」
「な、何故私の考えている事が!?……ハッ!」
「そういう能力だからだよ。僕のことはキタと呼んでくれ」
その男、キタさんは随分親しげに言いました。

  • 童謡系能力者がまた何かやってます
  • 少女、キタさんとの邂逅
  • お喋りなヒキガエル
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