「…端的に言うと、”異能力”の”意志”が”幻影”というカタチでこの世界に実体化したものね」
イマイチ内容を理解できないわたしへの助け舟なのか、鷲尾さんは呟くように説明した。
「ま、そんな感じだな。ごく一部の強力な能力の持ち主のみが、能力発動時に呼びだすことができる、”幻”。ちなみにコレ持ち主以外が触ると消えるんだ、…こんな風に」
鷲尾さんから引き継ぐように話を続ける耀平は、不意にネクロマンサーが持つ黒い大鎌の柄に手を伸ばした。
彼の手が柄に微かに触れると、ソレは跡形もなく見えなくなった。
「あ、ちょっと勝手に消すなよ」
「いいじゃん別に…てかこんな所でそんなモン出すな。いくらここにおれらしかいないからって、ソレ自体が危なすぎるから感情に任せて引っ張り出すのはやめろ」
”具象体”を消されて文句を言うネクロマンサーに対して、耀平はあきれたようにたしなめる。
「…むぅ」
たしなめられた彼女は、不満げに頬を膨らませた。
「ソレの刃なんか他人が下手に触ると勝手に記憶をかっさらっていくからな。マジで気を付けろ」
耀平に注意されても、ネクロマンサーはむすっとした顔でそっぽを向いていた。