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世にも不思議な人々㊽ 一つ目小僧その1

人通りの絶えた夜道を、二人組が歩いていた。
一人は、まだ秋なのに冬用の暗い色のロングコートを着てフードを目深に被った長身の青年。もう一人はその彼より頭一つ分強背の低い少女。ぱっと見誘拐の現場だがどうもそうでは無いらしい。ご存知、チャチャこと伏見清次とリータこと安芸華世である。
「しっかし君、お華さん、何でこんな夜遅くにこんな人通りの無い場所にいたんだ?危ないんじゃあないか?」
「ちょっと外出先で用事に手間取りまして。チャチャさんは?」
「僕も同じような感じだな。……っと、ちょっと安芸ちゃん、こっち」
そう言って伏見清次が安芸華世を街灯も無い細い横道に引っ張り込んだ。最早事案。
「どうしました、チャチャさん?」
「いや、ほら、僕らの少し前方、一人歩いてる奴が居るだろう?」
確かに、彼らのおよそ50m先を一人、歩いている人間が居る。
「はい、居ますね」
「奴がそこの十字路を横切るときに、ちらっとカーブミラーに顔が映ったんだが」
「よく見えましたね」
「そいつの目、一つっきりしか無かったんだ」
「え……。つまり、一つ目小僧?」
「………」
「………」
「……捕まえるか」
「捕まえましょう」
「よし。君は下から、僕は上から攻めよう。この距離、詰められるか?瞬間移動とか」
「はい、『5m』ずつなら」
「よし来た!」
伏見清次は輪ゴムのバリアを空中に展開し、その上を走り出した(今回はスニーカーを履いていないので、例の高速移動は出来ないもよう)。安芸華世は短い瞬間移動を繰り返して一気に距離を詰め、二人ほぼ同時に彼の一つ目に飛びかかった。

  • 童謡系能力者がまた何かやってます
  • 一つ目小僧は異能力者。
  • 能力者っぽい奴は見つけたら捕まえるもの
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