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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ⑱

「…ねぇ鷲尾さん、”悲劇”って…」
思わずわたしがそう尋ねかけた時、わたしの言いたいことに気付いたのか耀平が話に入ってきた。
「…例えば、”魔女狩り”。そこのハルカとかいう奴が言いたい悲劇はこういうのだろう」
「まぁそんなところね」
そう答えて鷲尾さんはちょっとだけ間を置く。
「…まだ魔法や神が、当たり前のように信じられていた頃の話よ。ふとした時に能力を使っているところを見られたり、常人とは違うような挙動を見せたりすると、色々疑心暗鬼になりすぎている時代だったから、”魔女”だとか”魔法使い”として狩られていったのよ」
「…え」
わたしは話の内容に絶句する。
”魔女狩り”という言葉は知ってたけど、まさかその裏に”異能力者”の存在があったなんて。
―それなら、鷲尾さんが常人に異能力がバレるのを嫌がるの事に納得がいく。
異能力者は前に同じ能力を持っていた人間の記憶を引き継ぐ。だから、その時代の事もよく分かっていたりするのだろう。
実際、”魔女狩り”っていうのは凄惨なモノだったらしいから、あれほどではなくとも、”異能力”のせいで痛い目に遭うのは1番嫌に違いない。

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