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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ⑲

…そう考えると、やっぱり普通の人間である自分がこういうモノを知ってしまった事って、かなり大変な事だと改めて思った。
「…あの時代らへんだと、異能力者同士でも疑心暗鬼だった感じだよね」
不意にネロが呟いた。
「まーそうだな。同類だけど、自分にかけられた疑いを晴らすために他の能力者を売ったり、な…」
「それで巻き込まれた異能力者結構いるはず」
「…実際過去のレイヴンはそれで処刑されました」
「え、処刑とかあっさり言っていいモンなの⁈」
みんなががちゃがちゃ言う中、平坦な口調でかなりおぞましいことを言った黎に、わたしは後ずさる。
「…いや、実際にあったことだし」
言った張本人は、別に驚くわけでもなく淡々と答える。
「まぁ、マジメに考えればあの時代結構どうかしてたよな~」
「だよね。”魔女”や”魔法使い”だけじゃなくて、所によって異能力者は、”悪魔”やら”化け物”やら、すごい時は”神の化身”的なモノとか…」
「そもそも光る目や、能力発動時と非発動時で、同じ人格の別存在という感覚自体が普通の人間離れちゃってるから…」
「…やっぱり、世のオカルトな事って、かなり異能力者が絡んでるような気がする…」
鷲尾さんがそう言ったところで、がやがやと話していた一同はうなずいて沈黙した。

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  • 作者の趣味多めです…
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