爪先だけで泣いている ずっと雷みたいだ 反射した夕日に目を細めた 去っていったピアノの音 乗り込んだバスは行き先がちがっていて なにもなかったような顔のまま 二停先で下車して歩く ひとつのことだけを考えている そのとき遠くなるすべてを 笑顔で見送った知らないあなた 秋のにおいが立ちこめる坂道 振り向いたわたしは何者でもなくて 夜のはじまりが鳴るまで空を見ていた