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世にも不思議な人々56 受け継がれる人その1

ここはヨニヒト次元の能力者達が住む街から数十km離れた山の奥地。表向きは隠れた名勝だが、その実裏では年間数十人とも言われる自殺の名所である。
その自殺の名所に、一人の少年がやって来た。年齢はおおよそ十五、六ほど。悲しいほどに無表情だ。
彼が崖から飛び降りようとしたとき、
「おい少年。何をしている」
謎の老爺が声をかけてきた。
「見ての通り自殺しようとしているのです」
「何故だ」
「この世界に絶望しまして」
「なんの災禍も経験せずして、何が絶望だ。笑わせる」
「何と言おうと僕は本気です」
「まあ待て。私がお前に生きる意志をくれてやろう。きっと死に物狂いで生きようとするぞ?」
「やれるものならやってみてくださいよ。僕は本気で死のうとしていますから」
「良かろう。ならばこれから、お前が『アコン』だ。次こそはお前が野望を果たせ。そして、」
その老爺は、崖の方に歩いて行き、
「叶うなら、お前はお前の道を行け」
「え?」
少年がその意味を聞こうとしたときには、老爺は既に飛び降りていた。

  • 童謡系能力者がまた何かやってます
  • アコン?カグアー!(違)
  • お爺さあああああん!!
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