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世にも不思議な人々57 受け継がれる人その2

少年が慌てて崖の下を覗き込むが、老爺の姿はもう遥かに下方にあり、見ること能わず。
「……何だったんだ今の」
不審がり考えていると、突然少年の頭の中に大量の情報が流れ込んできた。まるで、『六、七百年生き続けている人間の記憶がそのまま彼の頭に移植されているかのように』!
「うぬぁっ、ぐあああああぁぁぁぁああ……」
そして数分後、それが終わったらしく彼は立ち上がった。しかし、どうやら様子が先程までと違うようだ。
「……くフッ。ヒャッヒャッヒャッヒャッ。これが『俺』の新しい身体か。ちょいとばかし運動不足なんじゃあねえのか?」
一人称まで変わり、まるで別人格に乗っ取られたかのようである。
「まあ良いや。……第十三代嵯峨野吾魂。先代の野望は我が身命の全てを以て果たしてやろうじゃあないか」
どうやらガチに別人格関係のようだ。
「さて、先代の野望とは……?なに、『或る血統の滅亡』?ハハッ、こいつは物騒だ!……え?嘘だろ、件の血筋、残り一人って。つまんなっ。頑張って滅ぼせよ。何でそんな微妙な感じで残してたし。しょうがねーなー。俺が達成してやりますか!」
そう言って、崖とは反対側に歩き出した。
ところが、数歩行ったところで突然、まるで操り人形が糸を切られたかのように倒れこんだ。起き上がる気配が見られない。あたかも、『彼の身体が動こうと考えることを止めてしまったかのように』。

  • 童謡系能力者がまた何かやってます
  • さがのあこん
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