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世にも不思議な人々58 受け継がれる人その3

少年は困惑していた。それも当然である。一日のうちに自殺しようとして、謎の老爺に会い、その老爺が目の前で死に、性格が豹変し、突然身体が動くのを止めるという、普通有り得ない経験をいくつも続けざまにしたのだから。
(……一体何だったんだ……?突然性格が変わったと思ったら身体動かなくなるし。大体何だ吾魂って。厨二病かよ。キラキラネーム過ぎるだろ)
身体の動かない中、頭の中だけで考えていたところに、別の何かが語りかけてきた。
『オイコラテメー何ヲシタ?トットト身体ヲ動カセ。野望ヲ果タスノダ』
そこに更に別の何かが割り込んできた。
『残念ダッタナ。コイツニハ既ニ先客ガ居ルンダヨ。ソレガ俺様ダナ』
『アァ?テメーガ原因カ』
『言ットクガ、俺ノガ先ニ来テタカラナ』
『エ、マジカヨ。ケド俺ヲコイツニ送リ込ンダノハアノ爺サンダカラナ』
『ソウイウ能力ナノカ。ソレハヤベーナ。一人ニ二ツ能力ガアルノハ駄目ナ気ガ』
『ケド実際起キチマッタ』
『ジャアシャーナイ』
『提案ナンダガ、俺ガコイツノ脳ミソニ取リ憑イテオマエガコイツノ精神トイフ概念ニ取リ憑ケバ解決ジャネ?』
『メイアンヤナ!明ルクテ暗イ!』
『ソレ明暗』
(何喋ってるんだこいつら?っつーかこいつら何者なんだ?)
少年の身体が再び動くようになった。
「いってて……。転んで身体を打っちまったよ。とにかく!忌まわしき嵐山家の最後の一人、滅ぼしに行きますか!どこ居るか知らんけど!」
どうやら今の彼は嵯峨野吾魂のようだ。
「…しかし、マジでそいつは何処にいるんだろうな?先代までの記憶によると、住んでる街までは割り出せてる……って!殆ど分かってんじゃあねーか!何でやらなかったし!」
『ソレハ能力ヲイツマデモ遺シ続ケルタメダゼ』
『吾魂』の能力が語りかけてきた。
「へえ、そうかい。けどこれ、野望達成したらどうなるんだ?」
『ソシタラオ前自身ノ野望ノタメニ生キロ』
「なるほど。そういうことか。あれ、ますます達成して良くね?」

  • 童謡系能力者がまた何かやってます
  • 久し振りに喋る能力達。
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