「阿呆とは何だ阿呆とは!初対面相手に失礼じゃないのか!確かに考え無しにやって来たのは自分でもどうかと思うけどさ!」
「まあまぁまぁ落ち着け」
キタ、今は嵐山斎六と呼んだ方が良いだろうか、が何とか宥める。
「で、要するに僕が消えればそれで解決ってことで良いんだね?」
「ん、あ、ああ。あんたが死ねばそれで解決よ。けど、どこの世界に自分から進んで死にたがる阿呆がいるんだ?」
「お前十代の死因の一位だか二位だかが自殺だって知ってる?まあこうするんだよ」
キタがそう言って自分の背後に手を向け、直径およそ2mほどの大穴を『可視化』した。
「ん?そんなの見せてどうするんだ?」
「変に騙すとか通用しない気が」
真琴と初は不思議そうにしている。
「こうする」
キタは倒れ込むようにして、そのただの幻覚であるはずの大穴に飛び込んだ。そして、そのまま居なくなってしまった。
「「……ええええええええええええ!?」」
初と真琴が派手に驚いた。
「え!?何今の!?嘘だろ!そのまま入ってっちゃったけど!」
真琴が大穴に手を突っ込む。
「うわっすげえ!ちゃんと空間に穴が空いてる!あの人の能力って可視化じゃなかったのか!?」
「……えっ、あ、じゃあ、これで達成?え、嘘だろぉ……。何かあっさり……」
と、ここで空中に再び穴が開き、そこからキタが現れた。
「えっ」
「また出た」
「え、嘘でしょ」
吾魂も一緒になって驚く。どうやら吾魂になる前の性格が少し出ているらしい。野望達成により先代までの性格は、所謂『成仏』したのだ。