鼓動の音が響く。 真夜中の街は月の光に薄明るい。 息がきれる程に走ったのは何故だろう。 まだ体を動かすことはできない。 「どく、どく。」 と血液の流れるのを聞きながら、 僕の意識が遠のいてゆく。 僕は、生きているのか。 まだ、生きていたのか。 人生を素晴らしいと思うことはないが それでも、今自分が実感していることを 幸せだと思った。 相変わらず、深夜の道には僕ひとりだ。 家へも、走って帰るだろう。 汗を拭った。