たった一夜 小夜時雨の降る夜 静かに真っ黒な世界が泣く音 誰もかも死んでしまう深夜0時 どこまでも曖昧な世界線 たった一夜 夢のなか 仄かな哀しみの甘い甘いベーゼ たったそれっきり 醒めたらきっと何もかも忘れてしまう この雨がじきに止んでしまったなら もう二度と夢にさえ 追憶さえ この鈍痛も疼痛も 淑やかに濡れる 硝子の花びら この指先で粉々に砕け散ってしまいそう 破片の飛び散る軌道 どこかへ溶けて消えてしまった