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憧れと独白と傾聴とその先 #2

「これでも私、中学生の頃は真面目だったの」
 急に始まるこの語りに、この後輩はもはや慣れてしまった。私の話と関係のあることなんですか、なんてつまらないことは聞かない。それが、この子の好きなところだ。
「今でも十分真面目だと思いますけど」
「ううん。今はだいぶ不真面目になっちゃった。そうしている人たちが自由に見えて羨ましかったし、だから努めてそうしようとしていた時期があったからね。あの頃が1番真面目に真面目をやっていたな」
 そして、褒められることにも慣れていた。
 そう言うと、なんとなくわかりますと返される。嫌味なんかではないし、そういう風に受け取らないことをわかっているから、彼女にはこんな話ができる。
「私は、勉強ができる子の部類だったんだな。そして、そういう自覚もあった」
「……だから、真面目?」
 そうじゃないことを知っているくせに、そういうことを聞く。でも、そういう質問は嫌いじゃない。
「そういうことじゃないって、わかっているくせに」
 言うと、いたずらっ子のような笑みを見せ、彼女は再び黙った。

  • 憧れと独白と傾聴とその先
  • 全15話ほどを予定しております(仮)
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