「校則を守るようなことしかできなかったの。真面目についてはまた今度お話ししよう。今は昔話に付き合ってね。」
続ける。
「勉強はできたけど、これといって特別なことはしてこなかったし、誰よりも頭がよくありたいなんてことも思ってはいなかった。もちろん塾なんかにはいかなかったし、頭のいい高校に入りたい、みたいなことも思わなかったんだな」
「それでも勉強はした、と」
「だから、真面目だったの」
私は笑った。
「部活もね、真面目にやっていた」
「何部だったんですか?」
どこへいっても恒例の質問である。
「吹奏楽部だった。そこでも、何も問題はなかった」
「何も問題はなかった、というと?」
「吹奏楽部という部活においてこういう言い方は正しいかわからないけれど、周りよりもできたんだな、色んなことが、ね」