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憧れと独白と傾聴とその先 #8

 涼花は一つ間を置いた。
「つまらない質問してもいいですか」
「どうぞ」
「そういうときって、どう気持ちに折り合いをつけていたんですか?」
 陰で何か言われたとき、だろうか。
「知らないふりかな。それ以外に、あの時の私に術はなかった。認めてくれる人はいるんだから、ってね。まあ、あまり気にする質でもなかったしね」
 そうですかと応える涼花には、何か思うところがあるのかもしれない。
「先輩に好かれる質だとは言ったけどね、先輩方と話すのは部活くらいのもので。むしろ、部活ほどの短い時間だったからこそ、粗が見えなくて好かれていたのかもしれないけれど。
まあ、それでね。話すことといえば部活、具体的には音楽とかそういうことについてばかりだから、お互い生活は見えないんだよね。そんな中、テスト休み明けだけはやっぱりテストの話になったんだ」
「もしかして、そこで先輩の成績について知ったんですか?」
「そうそう。……そしてそこで、色々思ったんだ」
 涼花の顔が続きを催促している。
 埋まってしまっていた自分の思い出を、また少しだけ掘り起こしてみた。

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