「そう、言ってもらえなかったんだ。驕っていたなあ……へえ、やるじゃんって言われたんだよね。そのとき、たぶん私、ハトが豆鉄砲食らったような顔をしていたんだと思う。2年生の先輩が、この先輩凄いんだよって。学年1位なんだよってさ。で、その例の先輩が、次は10位以内だなって言ったんだ」
私は少し目を伏せた。意識的ではない、そうなってしまっただけ。思い出しているだけ。
「私、本当に、ただ勉強していただけだったの。もちろん100点を取りたいとは思っていたけれど、何位以内に入りたいとか考えたこともなかった。特別勉強しなきゃと思ったこともなかった。でも、やるじゃんって言われたのが悔しかった」
言葉にして初めて思う。
「私、先輩にすごいって言ってもらいたかったんだな」
独り言だった。