「酷、だったのかな」
少しだけ首を傾げた涼花。
「だったから、こんな話を私にしているのでは?」
少しの思考時間をもらう。ある面では、酷、だったのかもしれないけれど、
「そんなこと、思いもしなかったな。そもそも私は、戦う前に既に牙を折られていたから」
微笑みが零れた。
涼花が固まっている。
「……今の先輩、魅力的でした。惚れるかと思いました。思い出って偉大ですね」
まったく、この後輩は可愛い。
「私にとって先輩は、ずっと憧れの存在だった。何でもできた。何でもこなしていた。そうなるだけの努力をしていた。__そういえば、一度だけ、褒めてもらったことがある」
涼花は、少しだけ目を丸くした。
「何ですか?」