やっと涼花を見つめる。
「先輩も、私が飛び込んでこないと、飛び込めないと知っていて、そんなことをするんだもの。そして、先輩がわかっていることを知っていたことさえ、先輩はわかっていた。
「それでも、後悔はしていないし、憧れのあるべき姿であるようにも思う。涼花にとってそれがどんな形になっても、それがそれであることを一番良い形で受け入れてあげられればいいなと思うよ」
涼花の瞳は澄んでいる。
くすっと微笑んでみた。
「話、一応ちゃんと聞いていたよ。私はね、憧れにも種類があると思うんだ。それが、憧憬でも、思慕でも、聖域でも、もちろん__恋でも、涼花の望むようにしたらいい。私は望んで後輩でいただけ」
涼花は頷いた。
「私からはこんな感じかな。大丈夫?」
はいと応える涼花は、強い頷きのわりに、瞳には強い意志と、不安そうな揺れを携えていた。
「涼花?」
涼花の目は、澄んでいる。
涼花の整った唇から、強がるような震えた旋律が紡ぎだされた。
「……先輩。先輩は、女の人から告白されたことはありますか」
涼花は、望んで壊しに来た。