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或る男達の行程

五人の男が歩いていた。
以下は彼らの末路である。
一人は上を向いて歩いていた。その結果、ほんの少し頭を出していた石ころに気付かず躓いて転んでしまった。
一人は下ばかり向いて歩いていた。その結果、頭の高さにせり出した木の枝に気付かず、頭から突っ込んで驚きのあまり倒れ込んでしまった。
一人は横を向いて他の奴の様子ばかり見ていた。その結果、前の二人が次々と脱落していくのを見てまごついているうちに、はぐれてしまった。
一人は、ただまっすぐ前だけを見て歩いていた。その結果、迷わず歩き続けることができたが、星の美しさも雲の美しさも草花の美しさも知ることは無かった。
一人は、キョロキョロとしてばかりいて、落ち着きが無かった。その結果、様々な美しいものを見ることができた。
以下は彼らを見た人間の言葉である。
一人目は駄目だ。上しか見ていないのでは足を掬われる。
二人目は駄目だ。陰気に下ばかり見ていて、真実は何一つ見えていない。
三人目は駄目だ。一人で歩けないような奴が、どうして歩こうなどと思ったのか。
四人目は素晴らしい。何にも揺らがず真っ直ぐ行くべき道を進む。あれこそ人間のあるべきあり方だ。
五人目は駄目だ。あんな落ち着きの無い奴、社会に適合できるわけが無い。そもそもあんな奴と居るなんて、周りに何か言われたら恥ずかしくってしょうがない。

  • 各自適当に教訓を得なさい。得なくても良いです。
  • 何が一番良いのだろうね?
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  •  人間より野生動物のほうが多かった時代であれば五人目がいちばん適応できるタイプであろう。結局のところ社会なんてものはまっすぐ前だけ見る単純な者をリーダーとした依存し合うしかない弱者の集まりでしかない。
     社会に適合しているなんてのは生物としてはとても恥ずかしいことなのだ。