表面張力の壊れる瞬間 眦に溜まった水滴がひとつ 頬を伝って枕に落ちる ランプの色は滲んで溶け落ちて 知らない色は窓の外 夢のなかさえ上手くいかない 目の前の貴方よりずっとずっと ワントーン彩度の低い世界 あと1時間 目覚ましが鳴った時にはもう 全部忘れてしまうのかしら 少し湿気た上睫毛 微睡む意識は揺蕩って 立方体の空間に 鳴り響くのは秒針の音 どんなに悲しい夢だって どんなに酷い悪夢でも 何もひとつも忘れたくないの 獏にだってあげないわ